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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2006年5月17日配信)

第21回 『4ナイ落ち穂拾いーヒアルロン酸について』

こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 先日、自分の部屋に入ると何か様子が違っていることに気付きました。足下を見ると、お気に入りの木製の置き時計がバラバラになって壊れていました。簡易棚が壊れ、落ちてしまっていたのでした。

 この時計は13年前、私がまだ大学院の4年目だった時、ヨーロッパの国際学会で発表した時に、途中立ち寄ったスイスで購入したものです。当時は金銭的にも余裕がなく、先輩の先生に助けて頂き、ようやくの思いで旅立ちました。
 初めての国際学会で、大いに緊張していましたが、気晴らしにウィンドーショッピングをした時に、『これは素晴らしい。』と即決で購入した思い出深い品です。日本円で5万円位でした。

 20分程は呆然としていましたが、『悪いことは起こらない。頭に当たらなくてよかった。最近の自分は弛んでいるので、必死に頑張っていた昔を思い起こさせるための神様の啓示に違いない。』と仏教徒の自分に思い込ませました(苦しい!)。

 幸い、知り合いの職人の方に修理をして頂けることになり、大変助かりました。これを契機に、簡易棚も修理して、安全対策も万全にするようにしました。やっぱり『悪いことは起こらない。』ですね。

 とかち美白研究所では、VCローションを購入されている方に会報を毎月発行しております。そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

これは私が皮膚科診療を15年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、昨年まで『ニキビ治療の4ヶ条(4ナイ)』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『4ナイ落ち穂拾い』と題して、『4ナイ』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。
 本題に入る前に、ジャン・フランソワ・ミレー(1814ー1875)の名画『落ち穂拾い』(1857年)オルセー美術館所蔵をご覧下さい。
http://www1.megaegg.ne.jp/~summy/gallery/glaneuses.html

 私は美容の治療も手掛けてはいますが、特に最近思うことは、『肌の保湿がうまくいっている人はシミもよくなる。』ということです。
 『4ナイ』の(4)乾燥させナイ はニキビ治療ばかりではなく、美容の全てに通じることであるようです。

 大人のニキビでは『角質層の保湿ケア』が重要であると、以前お話いたしました。(第13~15回のコラムを参照して下さい。特に15回が重要です。)

 角質層の保湿を助けるものには、いろいろありますが、その代表的なものとして、今回は『ヒアルロン酸』についてお話させていただきます。

 当研究所では、2004年4月より、この『ヒアルロン酸』を主原料とする保湿用美容液『たっぷりヒアルロンエッセンス』を販売しております。

 お陰様で先日、販売本数が3000本を突破いたしました。日頃の御愛顧に感謝して、今回は他では余り聞けない、ウラ話も交えてお話して行きたいと思います。

《 ヒアルロン酸 の特長 》

 ヒアルロン酸の特長は、1グラムで6リットルの水分を保持する優れた保湿力にあります。皮膚に適量を塗ることで、お肌に十分なしっとり感、なめらか感を与え、肌荒れ、乾燥によるシワを予防することができます。

《 ヒアルロン酸 とは? 》

 皮膚の皮下の真皮には、縦横に走って肌のハリを維持するコラーゲン線維が沢山あります。そのコラーゲン線維の間を埋めているのがヒアルロン酸です。肌のヒアルロン酸量が多いと皮膚にハリが出てきます。赤ちゃんの肌がみずみずしいしいのはヒアルロン酸を多く含んでいるからです。

《 化粧品に含まれる ヒアルロン酸 の肌への働き方 》

 お肌がうるおってしっとりしているのは、角質層のNMF(天然保湿因子)やセラミドなどの働きによることが知られています。ヒアルロン酸も角質層の水分保持のために役立っています。
 ヒアルロン酸は分子量が50万~150万とコラーゲンより大きいため、化粧品に配合した場合は、角質層にはそれほど浸透しません。主に皮膚の表面に薄いフィルムを形成して肌を覆いながら、肌表面から水分が蒸発するのを防ぎます。その保護膜が化粧品や空気中の水分を吸って、その水分を徐々に肌へ与えてくれることにより保湿されるのです。

《 ヒアルロン酸 どうやって作っているのですか? 》

 ヒアルロン酸は、バイオ技術が確立される以前は、ニワトリのトサカから抽出されていました。最近では、微生物発酵精製により得られた高純度、高分子量のよりクオリティの高いヒアルロン酸が生産可能となってきています。そのため、BSEなどに代表される感染性病原体を排除でき、安心してお使い頂くことができます。 (当研究所の製品は微生物発酵精製により生産されたものを使用しております。原料供給先として、一般にはマヨネーズで有名ですが、最近ではバイオ技術の先端的研究を行い、ヒアルロン酸供給の世界的なシェアを占める「キユーピー株式会社」に多大なる御協力いただいております。)

《 ヒアルロン酸 大切な知識 科学的に裏付けのない情報には注意 》

 薄めずに高濃度で使うと、「つっぱり感」を生じたり、フィルム形成力が強いため、ニキビができることがあります。
(ニキビのある方で皮膚の乾燥が気になる方や、VCローション使用に伴う乾燥防止目的で使用する際には、薄めに使用することが大変重要です。)

 ヒアルロン酸はグリセリンなど他の保湿剤と異なり、湿度が低い場合も保湿力が低下することがありません。そのため、冬場の乾燥からお肌を守るためには最適です。
(北海道などの寒冷地向きです。)

 ヒアルロン酸は分子量が大きいため、真皮まで浸透していくことはありません。
(よく化粧品の宣伝で、肌の奥まで浸透云々とありますが×です。)

 また、分子量が小さくなると保水力が低下してしまいます。
(低分子ヒアルロンが良いと宣伝しているものも×です。)

 お肌のたるみ対策のために真皮のヒアルロン酸を増やすには、自身のお肌でヒアルロン酸を作る量を増やすことが必要です。
(注射もありますが打つ技術等に差が大きく出ます。)

 また、サプリメント等でヒアルロン酸を摂取すると、自身のお肌のヒアルロン酸量が増加するとされますが、肌のたるみを改善するなどの実用量にまで到達させることは、実際には難しいと思います。
(効果があったという論文もあります。「乾燥肌に対するヒアルロン含有食品の臨床効果」梶本ら『新薬と臨床』第50巻第5号p,90~102、2001)

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4ナイ落ち穂拾い】 「落ち穂 その6」

【ヒアルロン酸】

 
  • •ニキビ治療の4ナイの一つに
    (4)乾燥させナイ
    というものがあります。
  • •大人のニキビでは『角質層の保湿ケア』が重要です。(第13回~15回のコラムを参照して下さい。特に15回が重要です。)
  • •ヒアルロン酸はニキビのある方の角質層の保湿に有効な成分の一つです。
  • •皮膚の表面に薄いフィルムを形成して肌を覆い、肌表面から水分が蒸発するのを防ぎます。
  • •その保護膜が化粧品や空気中の水分を吸って、その水分を徐々に肌へ与えてくれることにより保湿されます。
  • •薄めずに高濃度で使うと、「つっぱり感」を生じたり、フィルムが出来て、ニキビができることがあります。
  • •ニキビのある方で皮膚の乾燥が気になる方やVCローション使用に伴う乾燥防止目的で使用する場合は、薄めに使用することが大変重要です。
  • •科学的に裏付けのない情報には注意しましょう。

 あっという間にゴールデンウイークも終わり、暑い夏もすぐそこですね。これからの季節は1年で最も紫外線量が多くなる季節です。日焼け止めや帽子など、紫外線対策は今の内からしっかりしましょうね。

それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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