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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2009年9月22日配信)

第61回 『尋常性ざ瘡治療ガイドラインについて』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 診療が終わり、ふとテレビをつけると、気合いの入った高校生が熱い戦いを繰り広げていました。
 『ライオンスペシャル高校生クイズ2009』という番組です。(詳細は http://www.ntv.co.jp/quiz/index.html

 全国の有名進学高校の在校生が多数出場して、ハイレベルな問題をコンマ数秒の差で答えたり、3人のチームで難問を制限時間内に解いて行く様子は、すごいの一言でした。

 勝ち抜いて喜ぶ姿、負けてくやしがる姿は、高校野球を上回る程です。真剣に競い合うということは本当に素晴らしいことですね。こんな一生懸命に生きる若者が暮らす日本は、まだまだ大丈夫と感じました。

 私が大学の受験勉強をしていたのはもう25年前。当時は本当につらいと思いましたが、今では、その時培ったものが基礎となり、大抵のことは楽しみながらこなせる様になりました。

 『とかち美白研究所』の設立や運営もその一つです。優れたオリジナル製品を低価格で提供しつづけることは、困難も伴いますが、自分なりに結構楽しんでやっています。
 多くの会員の皆さんに喜んでいただいていることは、大きな励みになっています。

 これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を19年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 皮膚科医がニキビの治療、特に保険診療を行っていく上での指針となる「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」が、2008年秋に日本皮膚科学会誌上で発表されました。 (詳しくは http://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/pdf/118101893j.pdf

 私がこの発表を聞いた時、最初は『ガイドライン?大して役に立たないんじゃないの?』と、否定的に捉えていました。
 でも、このガイドラインをじっくり読んでいくと、エビデンス(証拠)に裏付けられた、とても内容の充実したものであることが理解できました。

 詳しく話すと膨大なものになってしまいますので、今回は、以下の推奨度、特に『推奨度A(強く推奨する)の治療』に絞ってお話させていただきます。

 推奨度は、以下のように分類されます。(簡略化しています。)

推奨度の分類

A行うよう強く推奨する
B行うよう推奨する
C1良質な根拠は少ないが,選択肢の一つとして推奨する
C2十分な根拠がないので(現時点では)推奨できない
D行わないよう推奨する

 推奨度Aは、ニキビ治療に特に推奨できると、日本皮膚科学会がお墨付を与えたものと考えられます。
 ニキビの症状に対して、主に以下の7つに与えられています。ディフェリンゲル(アダパレン:以下DG)の有効性が際立ちます。

1.ニキビ(面皰)に対して,DG外用を強く推奨する.

 

2.ニキビ(炎症性皮疹:軽症から重症)に対して,DG外用を強く推奨する.

 

3.ニキビ(炎症性皮疹:軽症から中等症)に対して,DG外用と抗菌薬外用の併用を強く推奨する.

 

4.ニキビ(炎症性皮疹:中等症から重症)に対して,DG外用と抗菌薬内服の併用を強く推奨する.

 

5.炎症性皮疹が軽快したニキビに対して,DG外用の継続を強く推奨する.

 

6.ニキビ(炎症性皮疹)に対して、抗菌薬(クリンダマイシン,ナジフロキサシン)(#)の外用を強く推奨する.

(#)クリンダマイシン:ダラシンTゲル
   ナジフロキサシン:アクアチム

 

7.ニキビ(炎症性皮疹)に対して,抗菌薬内服(##)を強く推奨する.
(##)は ミノサイクリン(ミノマイシン)、
       ドキシサイクリン(ビブラマイシン)の2つが推奨度A

 要約すると、『推奨度A(強く推奨する)の治療』は、ニキビの症状により異なりますが、ディフェリンゲル、ダラシンTゲル、アクアチムの外用3剤とミノマイシン、ビブラマイシンの抗生剤2剤の中から薬剤を組み合わせて行うことになります。

 他の治療等はどうでしょうか?

イ)漢方薬は、C1、C2です。(次回以降で詳しくお話します。)

ロ)ニキビ患者さんにQOL改善を目的とした化粧(メイクアップ)指導を行うことは、C1です。
 (刺激性の少ないノンコメドジェニックな化粧品を選択するなどの配慮が必要です。)

ハ)ニキビ患者さんに対して,特定の食べ物を一律に制限することは、C2です。
 (食事指導は,特定の食物摂取とニキビの経過との関連性を十分に検討して対応することが望まれます。)

ニ)ニキビ患者さんに1日2回の洗顔を推奨することは、C1です

 『ガイドラインの位置付け』という項目にも書かれていますが、これは、現時点における日本でのニキビ治療の標準を示すものです。

 ニキビ患者さんでは,それぞれの症状の程度に差があり、合併症などの背景に様々な違いが存在します。治療は、診療に当たる皮膚科医がニキビ患者さんとともに決定すべきものです。

 その診療内容がこのガイドラインに完全に合致することを求めるものではありません。

 皮膚科医は、ガイドラインの推奨度に注意しつつ、しっかり皮膚の状態を把握し、症状に応じて薬剤のみならず生活面を含めてアドバイスしていくことが大切だと思います。

 一般のニキビ患者さん(特に現在通院中の方)にとっても、このガイドラインのQ&A(ClinicalQuestionに対する推奨文及び推奨度)は大変参考になります。
 一度、ご覧になってみては如何でしょうか?

 今回のポイントは以下の通りです。

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その45」

『尋常性ざ瘡治療ガイドラインについて』

 
  • •皮膚科医がニキビの治療、特に保険診療を行っていく上での指針となる「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」が、2008年秋に日本皮膚科学会誌上で発表されました。
  •  
  • •治療方法により以下の推奨度が示されています。
    A 行うよう強く推奨する
    B 行うよう推奨する
    C1 良質な根拠は少ないが,
       選択肢の一つとして推奨する
    C2 十分な根拠がないので
       (現時点では)推奨できない
    D 行わないよう推奨する
  •  
  • •『推奨度A(強く推奨する)の治療』は、ニキビの症状により異なりますが、ディフェリンゲル、ダラシンTゲル、アクアチムの外用3剤とミノマイシン、ビブラマイシンの抗生剤2剤の中から薬剤を組み合わせて行います。
  •   
  • •漢方薬は、C1、C2です。(次回以降で詳しくお話します。)
  •  
  • •QOL改善を目的とした化粧(メイクアップ)指導を行うことは、C1です。
  •  
  • •特定の食べ物を一律に制限することは、C2です。
  •  
  • •1日2回の洗顔を推奨することは、C1です。
  •  
  • •ガイドラインの推奨度に注意しつつ、皮膚科医がしっかり皮膚の状態を把握し、ニキビの症状に応じて薬剤のみならず生活面を含めてアドバイスしていくことが重要です。
  •  
  • •一般のニキビ患者さん(特に現在通院中の方)にとっても、このガイドラインのQ&A(ClinicalQuestionに対する推奨文及び推奨度)は大変参考になります。
 

 秋も深まってきましたね。北海道では朝の最低気温が10℃以下の日も珍しくありません。乾燥してきました。
 お肌の乾燥はニキビの大敵です。お肌の乾燥対策はこれからが本番。念入りな保湿対策をお願いします。

 次回は、「尋常性ざ瘡ガイドライン」の外用剤治療のトピックと漢方薬についてお話しさせていただきます。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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