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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2018年5月20日配信)

第165回 『「 腸 活 」で「ニキビ改善」 (1)腸内細菌と腸内環境について 』

#お時間のない読者の方は[今回のポイント]だけでもお読み下さい#

こんにちは。
とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

外来には昔の友人がやってきてくれます。
本当にありがたいことです。
それぞれ皆、頑張っていて刺激を受けます。

銀行の支店長となった高校時代の男性の友人とは、
『これからはキャッシュレスの時代。
 銀行員もいらなくなって、俺も定年まで大丈夫かどうか心配だよ』
という話を冗談まじりに診療の合間にしたりします。

3月中旬にきた、
中学校の同級生の女性の場合はちょっと驚きました。

『最近は泊まりの勤務が4日連続でもう大変。
 方向転換することにしたの。

 短大卒の私だけど、大学へ行って、念願の資格を取ることにしたの。
 4月からは大学生よ。バカにしないでね。』

『昔と違って、人生100年時代っていうじゃない。
 そういう「選択」もアリだと思うよ』と私。

『52歳で大学へ行ってもせいぜい80歳まで生きるのが精一杯かな。
 まあ、ありがと。』

普段は厳しい彼女でしたが、
今回は、新しい人生のイベントを間近に控え、神妙な感じでした。

人生は『選択』の連続ですね。

長生きする人が増えて、
『選択』の幅や内容がぐっと広がってきているようです。

そうそう。
『ニキビ』については、
症状が良くなったり悪くなったりすることを経験しながら
様々な治療法や生活上の工夫を『選択』していきます。

『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。
このメルマガが、月に1度必ず届く、

『 28年の皮膚科外来診療で得られた経験をもとに
  規則正しい生活、精神の安定、お肌の保湿などの
 「ニキビ改善」に重要な良い刺激となる情報を数多く提供。
 「継続」して「選択」しながらチャレンジするうちに
 「ニキビ改善」への道が開ける定期便 』

になれば幸いです。
ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、
根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。

このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、
自分自身が一歩でも前に進むつもりで、
毎月お届けさせていただいています。

とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を
毎月発行しております。

そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せて
います。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

これは私が皮膚科診療を28年やってきた中で非常に重要と思い標語に
したものです。

ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。

このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて
解説してきました。

第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を
『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連した
こと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )
にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

(バックナンバーは
  https://www.tokachi-media.com/content/column
 をご覧下さい。)

第159回からは、医師の『小林弘幸先生』の本
『自律神経が整えば休まなくても絶好調』(KKベストセラーズ)
を読んで考えたことを取り上げています。

この本の内容はとても有用なものですが、
特にこれはすごいと思ったのが、最終章にある
『効果絶大な休み方のコツ25』でした。

今回からは、前回の『腸を整える』という項目を発展させ、
『 腸 活 』について独自に掘り下げ、
『ニキビ改善』につなげる方法を考えます。

『 腸 活 』とは、腸内にいる細菌の『善玉菌』を強化し、
正常な腸内環境を保って健康な体を手にいれることです。

『 腸 活 』が上手く行くと、
便秘がちな女性や下痢気味の男性の『ニキビ』患者さんの
『ニキビ改善』につながります。

今回は、『 腸 活 』を上手く行うための前段階として、
『 腸内細菌 と 腸内環境 』について考えます。

実際の方法は、次回以降でお話させていただいます。

まず、『 腸内細菌 』について考えましょう。

1.『 腸内細菌 』について

『 腸内細菌 』とは腸内にいる細菌のことで、
その種類は数百以上、数にして100兆個以上といわれています。

イ)善玉菌 ロ)日和見(ひよりみ)菌 ハ)悪玉菌

の3つに大きく分けられ、バランスを保ちながら腸の中に存在。
以下にような性質を持っています。

イ)善玉菌

  腸の働きを整えて消化吸収を促す、体にとって有用な菌。
  (例)ビフィズス菌、乳酸菌など

ロ)日和見菌

  善玉、悪玉のどちらでもなく、優勢な方の味方をする菌。
  (例)大腸菌(病原性ではないもの)、バクテロイデスなど

ハ)悪玉菌

  腸内で有害物質を作り出し、体に悪さをする菌。
  (例)ウエルシュ菌、ブドウ球菌など

次に、『 腸内環境 』について考えます。

2.『 腸内環境 』について

『 腸内環境 』とは、主に大腸内にある細菌バランスのことです。
『 腸内環境 』は健康に大きな影響を及ぼし、
 食生活やストレス、生活習慣などで絶えず変化します。

『 腸内環境 』を良好に保つには、
 多種多様な細菌がバランスよく保持されることが大切です。

また、様々な腸内細菌がつくる生態系は花畑に似ていることから
『 腸内フローラ 』とも呼ばれます。

さらに、『 善玉菌と悪玉菌、日和見菌の働き 』について考えます。

3.『 善玉菌と悪玉菌、日和見菌の働き 』について

一般的に人の腸内環境は、
『善玉菌』20%  『悪玉菌』10%  『日和見菌』70%
のバランスが保たれているといわれます。

『善玉菌』は、
小腸から送られてきた食べ物のかすで有用な物質をつくり、
病原菌の繁殖を抑えたり免疫細胞を活性化させたりします。

一方『悪玉菌』は、
有害物質を生成して大腸の壁を直接攻撃したり、
腸壁から吸収されて血流とともに全身を巡ったりして、
体にさまざまな不調を引き起こします。

腸内細菌の大部分を占める『日和見菌』は、
善玉菌、悪玉菌のどちらか優勢な方と同じ働きをします。

最後に、『 善玉菌を増やすための方法 』について考えます。

4.『 善玉菌を増やすための方法 』について

『腸内環境を整えるためには、「善玉菌」を優勢にして活性化させる』
ことが大切です。

そのためには、
『ビフィズス菌や乳酸菌といった善玉菌を食事から積極的に取り入れる』
ことが重要です。

また
『ビフィズス菌の餌となるオリゴ糖や、
 乳酸菌の餌となる糖類を同時に摂取すると活性化が促進』
されます。

悪玉菌をためないためには、
『排便を促す食物繊維の摂取』
も欠かせません。

『善玉菌を増やすことがニキビ改善につながる』
と言っても過言ではありません。

実際、ニキビ患者さんで、
『 「腸活」を成功させて、便秘や下痢が改善した後、
  なかなか治療に反応しなかったニキビが改善 』
した患者さんも多いです。

但し『 腸活の成功 』→『便秘や下痢の改善』→『ニキビ改善』
の順番になりますから、即効性に欠けるのが難点です。

しかし、健康を手に入れたその後の人生は実り多きものとなります。

『腸活を成功させたニキビ患者さん』を数年くらい観察していくと、
女性の場合は
『ニキビが改善し顔の色つやが良くなる』
 →『性格が明るくなる』
 →『外来受診が不要に』
 →『結婚』
 →『数年してお子さんの皮膚疾患で受診し、
   お母さんから昔のことを感謝されて驚く』
というパターンが少なくありません。

男性の場合は、あまり多くありませんが、
『あの時、先生に◯◯を止めなさいといわれて、
 その通りにしたらお腹の具合が良くなりできものもなくなりました』
と言われることが時々あります。

女性は便秘が身近な存在なためか、
『 腸 活 』について柔軟に取り組む方が多いですね。

『 腸 活 』をすることで、
便秘がちな女性や下痢気味の男性の『ニキビ』患者さんは
『ニキビ改善』につながります。

『ニキビ改善』はもちろん、
健康で前向きな人生を送ることにもつながるよい方法です。
[今回のポイント]は以下の通りです。

      

【今回の4決め!落ち穂拾い】

『「 腸 活 」で「ニキビ改善」
 (1)腸内細菌と腸内環境について 』

  • ■ 医師の『小林弘幸先生』の著書
    『自律神経が整えば休まなくても絶好調』は良書です。
  • ■ 特にこれはすごいと思ったのが、最終章にある
      『効果絶大な休み方のコツ25』。
  • ■ 今回からは、前回の『腸を整える』という項目を発展させ、
      『 腸 活 』について独自に掘り下げ、
      『ニキビ改善』につなげる方法を考えます。
  • ■ 『 腸 活 』とは、腸内にいる細菌の『善玉菌』を強化し、
      正常な腸内環境を保って健康な体を手にいれることです。
  • ■ 『 腸 活 』が上手く行くと、
      便秘がちな女性や下痢気味の男性の『ニキビ』患者さんは
      『ニキビ改善』につながります。
  • ■ 『 腸内細菌 』は腸内にいる細菌のこと。
      その種類は数百以上、数にして100兆個以上。

      イ)善玉菌 (腸内細菌中20%を占める)
    腸の働きを整えて消化吸収を促す、体にとって有用な菌。
    (例)ビフィズス菌、乳酸菌など
      ロ)日和見(ひよりみ)菌 (腸内細菌中70%を占める)
    善玉、悪玉のどちらでもなく、優勢な方の味方をする菌。
    (例)大腸菌(病原性ではないもの)、バクテロイデスなど
      ハ)悪玉菌 (腸内細菌中10%を占める)
    腸内で有害物質を作り出し、体に悪さをする菌。
    (例)ウエルシュ菌、ブドウ球菌など
     の3つに大別。( )内のバランスを保ちながら腸の中に存在。
  • ■ 『 腸内環境 』は、主に大腸内にある細菌バランスで、
      健康に大きな影響を及ぼし、
      食生活やストレス、生活習慣などで絶えず変化します。
  •  
  • ■ 『 腸内環境 』を整えるためには、
      『善玉菌』を優勢にして活性化させることが大切です。
  • ■ 『善玉菌』を増やす方法としては
      A)ビフィズス菌や乳酸菌などの『善玉菌』を
       食事から積極的に取り入れる。
      B)ビフィズス菌の餌となるオリゴ糖や、
       乳酸菌の餌となる糖類を同時に摂取して活性化を促進させる。
      C)悪玉菌をためないために、排便を促す食物繊維を摂取する。
  • ■ 『 腸 活 』がうまくいくと、
      便秘がちな女性や下痢気味の男性の『ニキビ』患者さんは
      『ニキビ改善』につながります。
  • ■ 『 腸 活 』は、
    健康で前向きな人生を送ることにもつながるよい方法です。

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆「落ち穂 その149」彡☆彡☆彡☆彡☆彡

お蔭さまで、今年の春で開業して21年経ちました。

開業して良かったと思うことの一つが、
様々なひとの生老病死や人生の喜怒哀楽を見守ることができること。

最近、昔、通院していた男の子が一児の父となり、
その子が患者さんになったという出来事がありました。

診察していた時は全く気づかなかったのですが、
診察の終わり際、
『先生、ぼく昔、◯◯で通院していたんです。
 昔と全然変わらないんでびっくりしました』と言われ、
『ああ~。辛いことも多いけど頑張って長くやってこれてよかったな』
と素直に思いました。

人生山あり谷あり。

人生百年とするとまだ中間地点。 まだ頑張りたいと思います。

次回からは、
『 腸 活 』の具体的な方法について考えたいと思います。
それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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