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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2013年6月20日配信)

第106回 『ニキビとうつ病について~重症ニキビはうつ病のリスク!?~』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 『人生の節目に登場する場所』というものがあるような気がします。私にとってのその場所の一つが、『代々木ゼミナール札幌校』です。
 私は幸いにして浪人生活を送らずに、大学に合格しました。どうしてそこがそんなに重要な場所になるかというと、

理由の一つ目は18歳の時。
  大学受験の二次試験会場が『代々木ゼミナール札幌校』
であったことです。

理由の二つ目は24歳の時。
  医師国家試験の受験会場が『代々木ゼミナール札幌校』
だったということです。

 大学受験は田舎の受験生には、強烈な記憶となって残るものです。

 二次試験で挽回を狙っていた私は、午前中の英語・数学がまずまずの出来だったことに安堵しつつ、午後の物理・化学に向けて、昼ご飯はそこそこに、最終チェックをしていました。
 試験開始10分前となり、トイレで用を足している時、『そうそう。あの化学の問題もう1回チェックしておこう』となぜか思いました。自作の化学のノートを見返した所で、試験開始となりました。

 化学の問題用紙を開くと、ありました!!感謝!!感謝!! さっきチェックした問題でした。こうして私は、大学に合格することができました。

 医師国家試験は普通に勉強していれば、誰でも合格できます。受験会場が『代々木ゼミナール札幌校』だとを知った時、私は合格を確信しました(笑)。
 実際の医師国家試験の時も、6年前の出来事を思い出して、リラックスして試験に取り組むことができ、合格しました。

 時は流れて、私は47歳になりました。
 3月に講演会で札幌のホテルに宿泊した時のことです。何気なく外を見ると、開放的なガラス張りのモダンな新築のビルを発見しました。よく見ると『代々木ゼミナール』と表示されていました。その後ろには、見慣れた『代々木ゼミナール札幌校』。

 『昔の校舎がなくなるのか』と思った私は、これが最後のチャンスと考え、受験生の父兄を装い、旧校舎の校内を見学させていただきました。守衛さんにお願いして、例の『トイレ』で用も足しました。

 23年振りの『代々木ゼミナール札幌校』。張り出されていた、合格者の数は全盛時の3分の1以下。時代の流れを感じました。
 新校舎は、外から眺めただけです。旧校舎と比べると、かなり『スリム』で『コンパクト』になりました。本当に開放的で、とっても『明るい』感じです。

 そうそう、『スリム』・『コンパクト』・『明るい』。この3つは、『ニキビ治療に大切な言葉』だと思います

 自分の生活を見直して『スリム』な生活を心がけましょう。持ち物は『コンパクト』にして身軽になりましょう。『明るい』気持ちで過ごして1日1ミリでも進みましょう。

 これでいいんです。私達が、地球上で日々生きていることは、奇跡的なこと。
 こんな生活を心がけると、気持ちが前向きになり、ストレスも減って『ニキビ改善』につながります。

 『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。このメルマガが、月に1度必ず届く、『ニキビ改善につながる言葉を伝える定期便』になれば幸いです。

 ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。  このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、自分自身が一歩でも前に進むつもりで、毎月お届けさせていただいています。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を23年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 前回は、ちょっとした『気分転換』で、『感謝』の気持ちが生まれ、『上機嫌(ごきげん)で過ごす』ことができるようになり、『ニキビが改善する』ことについて、お話しさせていただきました。

 今回は、『重症のニキビ』が『うつ病』のリスクになる可能性があることについて、お話しさせていただきます。

 まず、最初に『うつ病』について簡単に説明します。

イ.どんな病気なのでしょうか?

 『うつ病』は、強い「憂うつな気分」とともに、意欲が出ない、考えがまとまらない、眠れない、疲れやすいといった精神や体の症状が長く続いて、日常生活に支障をきたす病気です。

ロ.なぜ起きるのでしょうか?

 多くは、うつ病になりやすい性格や体質を持っている人が、何らかのストレスを受けることがきっかけで発病します。

ハ.どうやって診断しますか?

 うつ病の症状には、精神症状と身体症状があります。うつ病に特徴的な症状が複数認められると、うつ病と診断されます。

ニ.他の病気との関係はありますか?

 うつ病を合併しやすい病気があります。また、他の病気やその治療薬が原因でうつ病になる場合もあります。
( 今回のコラムは『重症のニキビ』が原因で『うつ病』となる可能性が高まるというお話しです。)

ホ.どうやって治療しますか?

 

休養、薬物療法、精神療法が治療の3本柱です。

 厚生労働省の2011年の調査によると、うつ病の患者数は約70万人。実態はもっと多いとの指摘もあります。日本うつ病学会理事長の神庭重信・九州大学教授は「日本全体でうつ病患者は700万人程度に達するのではないか」と話されています。
 心の不調を感じても受診しなかったり、自覚しないまま症状を悪化させたりして、受診するケースも多いからです。

 『ニキビ』と『うつ病』は関連していると、私は以前から考えていました。

 それを支持する、論文が発表されましたので紹介させていただきます。

  (私が最近読んだ記事を以下で改変・引用します。
   JournalderDeutschenDermatologischen
   Gesellschaft誌オンライン版2013年4月9日号の報告。
   2013/04/24のCareNetで取り上げられていたものです。)

 ここで取り上げられている『ニキビinversa』は、簡単に『重症の目立つニキビ』と考えると良いと思います。

イ)汗腺の膿瘍として知られる『ニキビinversa』は慢性炎症性疾患で、生活の質に影響を及ぼす病気です。

ロ)ドイツ・シャリテ大学のAgataKurek氏らは、『ニキビinversa患者』は『うつ病発症リスクが高い』かどうかを検討しました。

ハ)対象は、自主的に研究に参加した『ニキビinversa(AI)患者』90例。

ニ)『うつ病』の発症を評価するために、患者の精神症状について不安と抑うつのスクリーニングテスト(HADS:HospitalAnxietyandDepressionScale)を行いました。

ホ)コントロール群は年齢、性別、BMIで調整し、マッチングしました。

ヘ)『うつ病』と『うつ病』に影響を及ぼすと推測される要因との相関関係を評価しました。

 主な結果は以下のとおりでした。

ト)『ニキビinversa(AI)患者』はコントロール群と比較し、『うつ病』を有する割合が高くなりました。

チ)コントロール群の『うつ病有病率は2.4%』であったのに対し、『ニキビinversa(AI)患者』の『うつ病有病率は38.6%』でした。

リ)『ニキビinversa(AI)』の持続期間および年齢とは対照的に、『不安』や『性的苦痛』は『うつ病の重症度』と強い相関が認められました。

 簡単にまとめると、

『重症ニキビの患者さんは、うつ病を有する割合が高く、うつ病の重症度が上がると、不安や性的苦痛を訴えることが多くなる』

といえるようです。

 確かに、毎日、外来でニキビ患者さんを診察していると、メンタルに問題ありと思われる患者さんは多いです。

 個人的には、軽い睡眠薬などを含めると、成人の場合、(特に重症例では)10%位のニキビ患者さんが、精神科や心療内科等で治療されているのではないかと思っています。潜在的には20%位のニキビ患者さんが対象になるとも考えています。

 私は、近くの北海道では最大規模の道立の精神病院の往診をしています。
 (往診歴16年。大学病院の時は某精神病院の往診を3年位していました。精神科に偏見は全くありません。)

 なじみのニキビ患者さんが、『最近こなくなったな〜』と思っていたら、いきなり入院していて、往診時、声をかけられたりすることもあります。
 また、あるニキビ患者さんは、明らかに精神科領域だなと考えていた所、精神科で入院して治療を受けた結果、ニキビも改善した例もあります。

 『ニキビを改善する』ことは、『うつ病のリスクを下げる』ことにつながります。 『ニキビを改善する』ことは、『うつ病の改善につながる』とも思っています。
 そのためには、精神科や心療内科との連携も大切です。

 『ニキビ』と『うつ病などの精神病・心・メンタル面』はリンクしているからです。

 微力ながら、ニキビ患者さんの診察時には、これからもメンタル面の影響を常に念頭に置いて診察し、少しでも精神的な面も含めたサポートができればと考えています。

 今回のポイントは以下の通りです。

 

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その90」

『ニキビとうつ病について
  〜重症ニキビはうつ病のリスク!?〜』

 
  • •『重症のニキビ』が『うつ病』のリスクになる可能性があることについて、お話しさせていただきます。
  •  
  • •『うつ病』は、強い「憂うつな気分」とともに、意欲が出ない、考えがまとまらない、眠れない、疲れやすいといった精神や体の症状が長く続いて、日常生活に支障をきたす病気です。
  •  
  • •うつ病を合併しやすい病気があります。また、他の病気やその治療薬が原因でうつ病になる場合も。
  •  
  • •ドイツ・シャリテ大学のAgataKurek氏らは、『重症のニキビ患者』は『うつ病発症リスクが高い』かどうかを検討しました。
  •  
  • •『重症ニキビの患者さんは、うつ病を有する割合が高く、うつ病の重症度が上がると、不安や性的苦痛を訴えることが多くなる』といえるようです。
  •  
  • •『ニキビを改善する』ことは、『うつ病のリスクを下げ、うつ病の改善につながる』と思います。
  •  
  • •精神科や心療内科との連携も大切です。
  •     
  • •ニキビ患者さんの診察時には、メンタル面の影響を常に念頭に置いて診察することが大切です。
 

 代ゼミの旧校舎は現在は、閉鎖されてしまいました。(平成25年5月26日現在)
 いやあ~懐かしかったです。本当に。

 今度は旧校舎の写真を撮りました。建物もいつまであるかわかりません。取り壊しの技術は最近は、どんどん進歩していますから。作業が始ればはあっという間でしょう。

 時の流れは、本当に早いです。47歳まで生きて来れて本当に感謝です。大学の同級生約100名の内、既に4名程が亡くなりました。合掌。
 これからも1日1日、今を大切に生きていきたいと思います。

 次回は、皮膚科の最近のトピックスを取り上げたいと思います。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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