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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2022年7月20日配信)

第215回 『「 腸 活 」で「ニキビ改善」 〜(45)腸に良い油、悪い油を理解して「 ニキビ改善 」〜 トランス脂肪酸に注意して「 ニキビ改善 」』

#お時間のない読者の方は[今回のポイント]だけでもお読み下さい#  

こんにちは。
とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

ちょっと前の出来事です。

3月29日火曜日の外来が始まって間もなく
いきなり大学病院時代の恩師であるM先生からお電話をいただきました。

以前紹介させていただいたことのある、
私の昔のアポトーシスの学位論文(1994年)についてのお話でした。

『 昔のアポトーシスの論文が
  世界の有力な医学雑誌に掲載されている論文に
  100回以上引用されていることに「 気付いた 」。
  これは滅多にないことだから調べてみたらどうか? 』
というアドバイスでした。

私は毎日、通常診療のみを行っている町医者です。
研究はしておらず最近の研究動向には疎いのです。

どうしたものかと思案したところ
思いついたのが大学院の同期で母校の研究所の教授に就任していた
一宮慎吾教授に協力を仰ぐことでした。

連絡したところ二つ返事で、
優秀な助教の池上先生を紹介され解析をお願いしました。

結果は、驚き桃の木山椒の木(笑)。

皮膚科関係では、
皮膚科の名だたる医学雑誌に掲載されている数十の論文で
私の論文が参考文献として引用されていることがわかりました。

そればかりか研究者なら一度は掲載されたいと熱望する
『SCIENCE』『JOURNAL OF IMMUNOLOGY』『CANCER』
など超一流の医学雑誌に掲載されている論文で
私の論文が参考文献として引用されていることもわかりました。
(詳しくは
https://www.tokachi-media.com/content/853
 をご覧ください。)

また、実質30年前の論文にもかかわらず
何と2020年代に入っても引用が続いていることがわかりました。

『聖飢魔II』のネタでコラムを書いているような私の昔の研究が
最近の研究のお役に立っているとは夢にも思いませんでした。

その後、地元の新聞にも大きく取り上げていただきました。
(詳しくは
https://www.tokachi-media.com/content/860
 をご覧ください。)

これはもう感謝しかありません。

大学時代の恩師の天才的な『気付き』によって
明らかになった今回の発見。

私のように日々ぼんやりと過ごしていると
『気付く』ことなく一生を終えていた可能性が高いです。

『気付き』はとても大切ですね。
『気付き』が思わぬ収穫につながることも多いです。

一生懸命『ニキビ治療』に取り組んでいても
一進一退で結果が出ない時があります。
次々問題が発生してつらい時もあります。

ちょっとした『気付き』が問題解決につながる
ことがあります。
このコラムの情報が
局面を打開する『気付き』となり
『ニキビ改善』につながる存在になるといいですね。

私の仕事は
『ニキビに悩む世界』にやむを得ずお住まいの読者が
『ニキビ無しの世界』にお住まいになれるように
橋渡しする役目。
『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。
このメルマガが、月に1度必ず届く、

『 32年の皮膚科外来診療で得られた経験をもとに
  規則正しい生活、精神の安定、お肌の保湿など
 「ニキビ改善」を意識できる「情報」を数多く提供。
 「ニキビ改善」につながる「気付き」もお届けして
 「ニキビ無しの別世界」への道が開ける定期便   』

になれば幸いです。
ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、
根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。

このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、
自分自身が一歩でも前に進むつもりで、
毎月お届けさせていただいています。

とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を
毎月発行しております。

そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せて います。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』

今日から私は以下の4つを良く守り、 ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

これは私が皮膚科診療を32年やってきた中で非常に重要と思い標語に
したものです。

ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。

(バックナンバーは
 https://www.tokachi-media.com/content/column をご覧下さい。)

第165回からは、
医師の『小林弘幸先生』の本
『自律神経が整えば休まなくても絶好調』(KKベストセラーズ)
の最終章にある『効果絶大な休み方のコツ25』の一つ
『腸を整える』という項目を発展させ、
『 腸 活 』について独自に掘り下げ、
『ニキビ改善』につなげる方法を考えています。

『 腸 活 』とは、腸内にいる細菌の『善玉菌』を強化し、
正常な腸内環境を保って健康な体を手にいれることです。

『 腸 活 』が上手く行くと、
便秘がちな女性や下痢気味の男性の『ニキビ』患者さんの
『ニキビ改善』につながります。

第209回からは、
『 腸に良い油、悪い油を理解して「 ニキビ改善 」 』と題して
私たちが日常何気なく摂っている『油』について考えています。
前回は、
『 市販の油 』を買うときは注意して『 ニキビ改善 』をはかる方法
について考えました。

今回は、
『 トランス脂肪酸 』に注意して『 ニキビ改善 』をはかる方法
について考えます。 
『腸に悪い14の習慣 「これ」をやめれば腸が若返る』
 松生恒夫(まついけつねお)著 PHP新書

という本を最近読みました。

4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた消化器内科の先生が
お書きになられた本です。

14の腸に悪い習慣などがわかりやすく取り上げられていて、
実体験に基づく優れた内容が満載です。
これはぜひご紹介したいと考えました。

以前から注目されている脂肪酸の1つに、
『トランス脂肪酸』があげられます。

『トランス脂肪酸』は、大豆油やコーン油などの植物油に、
水素添加という加工を施す『ショートニング』を行うときにできます。

『ショートニング』をおこなった油
(このときにできた油を『ショートニング』と呼ぶ場合もあります)は、
ファストフード店などでフライドポテトやチキンナゲットを揚げるとき
などによく使われています。

また『ショートニング』は、
ケーキやドーナッツを作るのにも用いられています。

『「ショートニング」で産生された「トランス脂肪酸」は、
 ファストフードやスナック菓子、菓子パン、
 マーガリン類などに多く含まれています。』

この
『 「ショートニング」で産生された「トランス脂肪酸」が、
  LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を上昇させ、
  HDLコレステロール(善玉コレステロール)値を低下させる 』
ことが指摘されています。

2005年に発表された、K.Ohらによる『Nurses, Health Study』によると、
アメリカの女性看護師約8万人を対象に、
食生活を含む生活習慣を1980年から4年ごとに調査した結果、
その後20年間の冠動脈性心疾患との関連が明らかになりました。

『 「トランス脂肪酸」を多く摂っている方が、
   冠動脈性心疾患の罹患リスクが増加する  』
ことがわかりました。

肥満や糖尿病に関しても大規模な調査がおこなわれて、

『 「トランス脂肪酸」を摂っていると
   肥満や糖尿病のリスクが増加する 』
という結果が出ています、

『トランス脂肪酸』と大腸がんとの関連については、
いまだ明確になっていないそうです。

ある調査ではトランス脂肪酸は大腸がんのリスク要因になる
という指摘もあります。

『 「トランス脂肪酸」を含む食品は、
  なるべく摂らないよう心がけた方が得策 』
です。

私は、
第33回、第38回、第39回、第131回〜第134回のコラム
などで執拗に(笑)『トランス脂肪酸』について取り上げています。
基本的な考えは大きく変わっていません。

雑誌の特集
『健康に「いい油」「悪い油」正しい摂り方教えます』
      (週刊文春 2015年7月16日号) 
を題材に『健康に良いと思われる油』について考えていました。
私が出した結論は、以下の通りです。
『 トランス脂肪酸(カノーラ油を含む)、パーム油を含む食品を
   「避ける」あるいは「できるだけ減量」しましょう。
            更に、
   健康に良い エゴマ油、アマニ油などの「植物油脂」
            と
     血管を丈夫にする 「動物性脂肪」
     をバランス良く摂取しましょう。
   「油の新常識」を意識した食生活を送ることが、
    ニキビ改善につながり、健康につながります。     』
『健康に良い油』を効果的に美味しく摂るポイントを以下に再掲します。
『専門家が勧める「健康に良い油」を効果的に美味しく摂るポイント』

イ.大櫛名誉教授 編 (エゴマ油とアマニ油について)
1)魚を自然な形で食べるのが一番。
2)魚を食べる量が減少。それを補えるのがエゴマ油とアマニ油。
3)エゴマ油とアマニ油は酸化しやすく加熱調理には向いていない。
4)エゴマ油とアマニ油はドレッシングとして使うのがおすすめ。
  (例)練りごまが主原料の『ごましゃぶ』(ミツカン)
     と一緒にサラダにかけて食べる。
     (大櫛名誉教授の定番メニュー)
5)エゴマ油とアマニ油は、化学物質を使わないで抽出している
  『低温圧搾』と書かれたものを選んだほうが良い。

ロ.フードコーディネーター 西本敦子 編 (エゴマ油について)
1)毎日続けるには味噌汁にティースプーン一杯分入れるのが良い。
2)ドレッシングにする場合、柚や梅干しを刻んで混ぜるとおいしく
  なる。刺身や蒸した魚介類、ホタテやエビにかけても合う。
3)冷麺や冷しゃぶにもかけるのも良い。

ハ.マブチメディカルクリニック 馬渕知子院長 編  (エゴマ油について)
1)週に三回か四回、塩や粉チーズと混ぜて、サラダのドレッシング
  のように使用。 2)減塩メニューにも効果的。刺身やお寿司を食べる時に、
  醤油を使用せず、塩とエゴマ油で美味しくいただける。
3)熱や光、空気の影響を受けやすい。1ヶ月以内に使い切ること。
4)自身のコレステロールのバランスがいい状態で保てている。

ニ.管理栄養士 小山浩子 編 (アマニ油について)
1)ティースプーン一杯で一日に必要な量を摂取できる。
  味噌汁や納豆、サラダにかけたりなど、習慣づけることが大事。
2)素材のうまみを引き出してくれるので、醤油や味噌など調味料の量
  を抑えることができ、減塩につながる。
3)アマニ油とポン酢を混ぜてお刺身にかけたカルパッチョ風のレシピ
  の評判が良かった。
4)自身の経験では、疲れにくくなったと感じている。

ホ.ごきげんクリニック 澤登雅一 院長 編 (アマニ油について)
1)毎日納豆に入れて食べている。納豆と一緒に食べるとダブルで腸内
  環境に良い。
2)酸化しやすいので、遮光の瓶で開けてから三週間以内に使い切る。
  瓶も冷蔵保存する。
3)患者さんの食生活相談で必須アイテムとして紹介。各種数値が改善。

ヘ.管理栄養士 安中千絵 編 (両方試して苦手だと感じた場合)
1)エゴマ油と醤油、みりん(ハチミツ)、ゴマ、これらを混ぜれば
  何にかけてもおいしいソースになる。
2)ネギをきざんで入れたり、ラー油を入れると食べやすくなる。
3)主婦の感覚では高価。自身は青魚やツナ缶、クルミを食べている。
『トランス脂肪酸』を賢く避けて、体に必要な『油』を摂ることが
『ニキビ改善』につながります。

『ニキビ改善』はもちろん、
健康で前向きな人生を送ることにもつながるよい方法です。
[今回のポイント]は以下の通りです。

【今回の4決め!落ち穂拾い】
『「 腸 活 」で「ニキビ改善」
〜(45)腸に良い油、悪い油を理解して「 ニキビ改善 」〜
トランス脂肪酸に注意して「 ニキビ改善 」 』

  • ・ 医師の『小林弘幸先生』の本
      『自律神経が整えば休まなくても絶好調』の最終章にある
      『効果絶大な休み方のコツ25』の一つ
      『腸を整える』という項目を発展させ、
      『 腸 活 』を独自に掘り下げています。
  • ・ 以前から注目されている『トランス脂肪酸』。
      大豆油やコーン油などの植物油に、水素添加という加工を施す
      『ショートニング』を行うときにできます。
  • ・『トランス脂肪酸」は、ファストフードやスナック菓子、
      菓子パン、マーガリン類などに多く含まれています。
  • ・『ショートニング」で産生された『トランス脂肪酸』は、
      LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を上昇させ、
      HDLコレステロール(善玉コレステロール)値を低下させます。
  • ・『 トランス脂肪酸(カノーラ油を含む)、パーム油を含む食品を
       「避ける」あるいは「できるだけ減量」しましょう。
                更に、
       健康に良い エゴマ油、アマニ油などの「植物油脂」
                と
         血管を丈夫にする 「動物性脂肪」
         をバランス良く摂取しましょう。
       「油の新常識」を意識した食生活を送ることが、
        ニキビ改善につながり、健康につながります。     』
  • ・『ニキビ改善』はもちろん、
      健康で前向きな人生を送ることにもつながるよい方法です。

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆「落ち穂 その198 」彡☆彡☆彡☆彡☆彡

第205回のコラムで、
ヒゲダンの新曲が『アポトーシス』だと知って驚いたエピソードを紹介
させていただきました。

しかしその後、冷静に考えてみると、
『アポトーシス』
という言葉が一般的な生活で使われるようになるのは
時代の変化によるものであり、
そんなに大げさに驚くことではないのかなとも思いました。

昔、その分野の研究をしていたということは有難いことで
良い経験をできて私は幸せものだとも思っていました。

今回の『昔の学位論文が引用回数100回越え』というお話は
恩師のM先生の一流の『気付き』が全てだと思っています。

M先生には感謝しかありません。

また、
第205回のコラム(2021年9月20日配信)中にも書いた通り、
以前から以下のように強く感じていました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『 お前の研究テーマ「アポトーシス」は人生の後半で
  再び脚光を浴びることになる。
  それは思わぬところからやってくる。
  それがやってきた時、
  世界は別の世界に変貌しているだろう。
  それでもお前は生きるのだ。
  悲しんでいる場合ではない。
  残りの人生を「アポトーシス」を意識してしっかり生きるのだ』
そう神様にいわれたような気がしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここ数ヶ月で世界はさらに別の世界に変貌しているように思えます。
思わぬところから再び脚光を浴びたというのも当たっていると思います。
今年に入り、お世話になった方や知り合いが次々亡くなり驚くばかりです。
残りの人生を『アポトーシス』を意識してしっかり生きたいと考えています。
  次回も『 油 』について考えます。
それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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