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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2021年5月20日配信)

第201回 『「 腸 活 」で「ニキビ改善」 〜(32)腸内環境を改善するひと工夫〜 腸に良い習慣 「 グルタミン リッチ 」を取り入れて 「 ニキビ改善 」 後編 免疫を高めるカギとなる「グルタミン」を上手に摂る実践編  』

#お時間のない読者の方は[今回のポイント]だけでもお読み下さい#

 

こんにちは。
とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

4月のある日の早朝5時半頃のことです。

『ダダダッー ダダダッー  ダダダッー』
工事現場の騒音を思わせる音が
たまたま診察室で仕事中の私の耳に響きました。

鳥の鳴き声を思わせるもののあまりに音が大きく
聞いたことがない音でした。

『新種の渡り鳥かな?うるさいなあ。何だろ?』
『でも仕事、仕事。早く終わらせないと———』

何日間もその『怪音』は5〜10分間断続的に続きました。
さすがの私も重い腰を上げました。

コートを羽織って外に出ました。
『怪音』は予想以上に大きく、一帯に響いていました。

音源はすぐ近くにあり
診療所の裏から聞こえました。

何気に屋根の方を見ると
いました一羽の白黒の鳥です。

体はカラスより小さく頭と胸には赤の模様。

その鳥はテレビアンテナのポールにしがみつき
嘴でポールを超高速(笑)で突きまくっていました。

犯人は『キツツキ(エゾオオアカゲラ)』でした。

診療所の敷地内のことなので全ては自己責任。
私が大声を上げつつ小石を投げると
『キツツキ』は退散しました。

『原因は(意外と)身近にある』

こう思うことって結構ありますね。

この『キツツキ(エゾオオアカゲラ)』。
実は第34回のコラムで取り上げたことがあります。

その時は少し珍しい可愛い野鳥と思っていたら
今回は厄介者となってカムバック。

なかなか改善しないニキビの場合
『原因は(意外と)身近にある』ことも多いです。
私の仕事は
『ニキビに悩む世界』にやむを得ずお住まいの読者が
『ニキビ無しの世界』にお住まいになれるように
橋渡しする役目。
『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。
このメルマガが、月に1度必ず届く、

『 30年の皮膚科外来診療で得られた経験をもとに
  規則正しい生活、精神の安定、お肌の保湿など
 「ニキビ改善」を意識できる「情報」を数多く提供。
  ニキビの『原因は(意外と)身近にある』
  ことに気づくことが「ニキビ改善」につながり
 「ニキビ無しの別世界」への道が開ける定期便   』

になれば幸いです。
ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、
根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。

このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、
自分自身が一歩でも前に進むつもりで、
毎月お届けさせていただいています。

とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を
毎月発行しております。

そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せて
います。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』

今日から私は以下の4つを良く守り、 ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

これは私が皮膚科診療を30年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。

(バックナンバーは
 https://www.tokachi-media.com/content/column をご覧下さい。)

第165回からは、
医師の『小林弘幸先生』の本
『自律神経が整えば休まなくても絶好調』(KKベストセラーズ)
の最終章にある『効果絶大な休み方のコツ25』の一つ
『腸を整える』という項目を発展させ、
『 腸 活 』について独自に掘り下げ、
『ニキビ改善』につなげる方法を考えています。

『 腸 活 』とは、腸内にいる細菌の『善玉菌』を強化し、
正常な腸内環境を保って健康な体を手にいれることです。

『 腸 活 』が上手く行くと、
便秘がちな女性や下痢気味の男性の『ニキビ』患者さんの
『ニキビ改善』につながります。

第199回からは、最新の研究からわかってきた
『 積極的に取り入れたい 腸によい 6つの習慣 』
について考えています。
前回は、
『 腸に良い習慣 「 グルタミン リッチ 」』を取り入れて
『腸内環境改善』をはかり『ニキビ改善』につなげる方法の前編。

          『グルタミン』が
『人間が外敵から自らを守り生きていくための最重要物質の一つ』
であることを理解しました。

今回は、その後編。
『グルタミン』を上手に取り入れる実践編について考えます。
『腸に悪い14の習慣 「これ」をやめれば腸が若返る』
 松生恒夫(まついけつねお)著 PHP新書
という本を最近読みました。

4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた消化器内科の先生が
お書きになられた本です。

14の腸に悪い習慣などがわかりやすく取り上げられていて、
実体験に基づく優れた内容が満載です。
これはぜひご紹介したいと考えました。

アミノ酸の一種 非必須アミノ酸の『グルタミン』が、
免疫力を高めるカギを握っているということがわかってきました。

『うま味』の成分『グルタミン酸』とは違います(これ重要!!)
ので注意が必要です。

現在までに明らかになっている『グルタミン』の働きをまとめると、
以下の5つです。

1)小腸粘膜の最大のエネルギー源になる
2)大腸粘膜で二番目に重要なエネルギー源になる(一番目は酪酸)
3)リンパ球などの免疫細胞の発育と増殖を促して、免疫力を高める
4)抗うつ作用がある
5)キズの治りを促進する作用がある

特に注目すべきは1)2)3)です。
それを以下のA.B.でまとめて説明して理解をさらに深めていただき
  『「グルタミン」を食事で摂りたくなるきっかけ』
としたいと思います。

A. 小腸『 吸収 』細胞での栄養吸収、
  小腸が正常に機能するための主要なエネルギー源
  『グルタミン』
小腸の表面は粘膜で覆われています。
粘膜は絨毛と呼ばれる突起からなり、
ここに 小腸『 吸収細胞 』 が存在します。

イ)小腸内壁に消化する食物が存在
   ↓
ロ)小腸『 吸収細胞 』は消化された食物を吸収
   ↓
ハ)絨毛内の非常に小さい血管に栄養素を運ぶ
   ↓
ニ)さらに肝臓を通して、全身の循環系へ栄養素を送り込む

小腸『 吸収細胞 』での栄養吸収や、
小腸が正常に機能するための主要なエネルギー源が
『グルタミン』です。

昔、学校で習った小腸の機能。
それを支えるのが『グルタミン』なのです。
『「グルタミン」がないと 小腸が機能しない=消化吸収できない』
わけです。

B. 『グルタミン』の免疫増強作用について
体に負担がかかっているとき
(傷や手術後などで食事を摂れないときなど)は、

イ)病原体の体内への侵入を防ぎ損傷部位を修復するために、
 a)リンパ球 b)マクロファージ c)好中球 等の
『 免疫担当細胞 』の働きが活発になります。

ロ)また、
 『 腸管(特に小腸)の「 粘膜 」細胞 』による
 『腸管バリア』を維持し、
 腸内の病原体や毒素が、腸管外へ侵入することを防ぐ必要があります。
(腸が退化してくると、この機能が低下します)。
イ)の『 免疫担当細胞 』
ロ)の 腸管(特に小腸)の 『 粘膜 』細胞

のエネルギー源として、『グルタミン』が働くのです。
この働きぶりはスゴイです!!

昔読んだ野球漫画『ドカベン』の『小さな巨人 里中くん』を思い出します。
(あまりにも古いネタで恐縮です。興味のある方は検索してください。)

各種細胞に対する『グルタミン』の作用 をまとめます。

リンパ球、マクロファージ    免疫機能維持
好中球のエネルギー基質     感染制御能アップ
腸管粘膜細胞のエネルギー基質  腸管の物理的・免疫バリア維持

『「グルタミン」を豊富に含む食材を理解して積極的に摂る 』
ことの重要性がよくおわかりいただけると思います。

以下でいくつかに分けて『グルタミン摂取の実践法』
を考えていくことにします。

1.グルタミンを豊富に含む食材

グルタミンを豊富に含む食材はこれです!

グルタミン含有量の多い食品  食品(含有量/100gあたり)
◆カキ 86μg/100g ◆鶏もも 43μg/100g ◆卵黄 93μg/100g
  ◆肉類 ◆魚介類 ◆野菜 ◆豆類 ◆穀類 ◆乳製品

手頃なのは 鶏モモ や 卵 ですね。

2.著者 松生恒夫 先生の考察
体内で合成され『筋肉』から供給される『グルタミン』は、
手術による絶食、風邪、ダイエット、
さらに激しいストレスにさらされる緊急事態が発生すると、
小腸の免疫機能が働こうとして、大量に消費されます。
『グルタミン』不足は、免疫力低下につながります。

『グルタミン』は、
生魚(刺身)、生肉(タルタルステーキ)、生卵、
発芽大麦等の、生のタンパク質に多く含有されます。

また、
『グルタミン』は40℃以上の熱が加わると成分が変性します。
生か生に近い状態で摂るのがおすすめです。

1日に何グラム摂ったらいいのかという目安はまだありません。
良質のタンパク質を含む食品を意識して摂ることをおすすめします。

ご飯に生卵をかけたり、
お刺身を食べたり、良質の肉であればタルタルステーキなどもよい。

3.アスリート向けの栄養管理に詳しい
    管理栄養士 佐藤樹里さんの考察

『グルタミン』は筋肉から供給されるため、
筋肉量を増やすことは『グルタミン』を増やすことにつながります。
アスリートや筋トレの考えを学ぶことはとても大切です。

『グルタミン』のもっとも効果的な1日の摂取量は
個人差はあるが、一般的に1日15~20g程度がおすすめ。

摂取のタイミングは、1日に3回くらいに分けて摂取するとよい。
5g×1〜3回など、自分の身体のコンディションをみて量や回数を変える。
朝起きたとき、トレーニング直後、寝る直前 
のタイミングで摂取することがおすすめです。

とくに寝ている間は成長ホルモンが分泌されるので、
疲れているときや風邪をひいているときは、
なるべく寝る直前の摂取がよい。

グルタミンを効果的に摂取できるメニューのおすすめは、
     『 “ねばねば海鮮丼” 』。

ご飯の上に『グルタミン』をダイレクトに摂取できる
『刺身』、『ねばねばのめかぶ』、『納豆』、『卵黄』を加えます。

『グルタミン』にミネラル、たんぱく質、炭水化物(糖質)の組み合わせは、
特にアスリートのためのパワフル食です。
カロリーも揚げ物や炒め物などに比べると抑え目です。

『グルタミン』の豊富な刺し身、めかぶ、卵黄と納豆をあわせて食べることで、
筋肉の材料になるたんぱく質と同時に、
腸内環境を整える発酵食品も一緒に食べることができます。
腸内環境を整えて筋肉を合成するためにもバッチリな組み合わせです。

生で食べられる食材は限られ、
加熱調理すると摂取できるグルタミンの量は減少するため、
サプリメントやプロテインなども組み合わせて効率的に摂取する
ことが望ましい。

以上です。

大変長くなってしまいましたが、
『「アミノ酸の小さな巨人」である「グルタミン」』
をよく理解して意識的に摂ることは本当に大切です。
『ニキビ患者』さんの診察を行うとき、
顔や頚部、背中などニキビのある部位をまず観察したのち
私は肌の色ツヤや栄養状況、生活状況もチェックします。

栄養状況が良い『ニキビ患者』さん(=免疫力が高いと推測)は、
ニキビ改善の可能性が高いためあまり心配しません。

けれど、
あまり栄養状況が良くない『ニキビ患者』さん(=免疫力に難ありと推測)
はニキビ改善が遅れたり満足のいく結果が得られなかったりします。
『  「人間が外敵から自らを守り生きていくための最重要物質の一つ」
       『グルタミン』を意識的に摂ることが
    特に栄養状況が良くない『ニキビ患者』さんの
        『ニキビ改善』につながる            』

    

と期待しています。
腸に良い習慣『 グルタミン リッチ 』
を意識的に取り入れて『腸内環境改善』をはかりましょう。

『ニキビ改善』はもちろん、
健康で前向きな人生を送ることにもつながるよい方法です。
[今回のポイント]は以下の通りです。

【今回の4決め!落ち穂拾い】

『   腸に良い習慣 「 グルタミン リッチ 」 を取り入れて 「 ニキビ改善 」 

後編 免疫を高めるカギ「グルタミン」を上手に摂る実践編  』

  • ■  医師の『小林弘幸先生』の本
     『自律神経が整えば休まなくても絶好調』の最終章にある
     『効果絶大な休み方のコツ25』の一つ
     『腸を整える』という項目を発展させ、
     『 腸 活 』を独自に掘り下げています。
  • ■  今回は『 腸に良い習慣 「 グルタミン リッチ 」 』
      を取り入れて『腸内環境改善』をはかり
     『ニキビ改善』につなげる方法の後編。
       『グルタミン』を上手に取り入れる実践編について考えます。
  • ■  アミノ酸の一種 非必須アミノ酸『グルタミン』が、
      免疫力を高めるカギを握っていることがわかってきました。
      (『うま味』の成分『グルタミン酸』とは違います!!)
  • ■  現在までに明らかになっている『グルタミン』の働きのまとめ
      1)小腸粘膜の最大のエネルギー源になる
      2)大腸粘膜で二番目に重要なエネルギー源になる
      3)リンパ球などの免疫細胞の発育と増殖を促し免疫力を高める
      4)抗うつ作用がある
      5)キズの治りを促進する作用がある
  • ■  『「グルタミン」を豊富に含む食材を理解して積極的に摂る 』
      ことは重要。
       グルタミン含有量の多い食品  食品(含有量/100gあたり)
       ◆カキ 86μg/100g ◆鶏もも 43μg/100g 
       ◆卵黄 93μg/100g ◆肉類 ◆魚介類 ◆野菜 
       ◆豆類 ◆穀類 ◆乳製品 手頃なのは 鶏モモ や 卵。
  • ■  ご飯に生卵をかけたり、お刺身を食べたり、
      良質の肉であればタルタルステーキなどもよい。(松生恒夫 先生)
  • ■ おすすめは、『 “ねばねば海鮮丼” 』。
     『グルタミン』の豊富な刺し身、めかぶ、卵黄と納豆
     をあわせて食べることで、筋肉の材料になるたんぱく質と同時に、
     腸内環境を整える発酵食品も一緒に食べることができる。
     腸内環境を整えて筋肉を合成するためにもバッチリな組み合わせ。
     (アスリート向けの栄養管理に詳しい 管理栄養士 佐藤樹里さん)
  •  
  • ■  『「人間が外敵から自らを守り生きていくための最重要物質の一つ」
            『グルタミン』を意識的に摂ることが
          特に栄養状況が良くない『ニキビ患者』さんの
             『ニキビ改善』につながる           』
      と期待しています。
  • ■ 腸に良い習慣「グルタミン リッチ」を意識的に取り入れることは
     『ニキビ改善』はもちろん、
     健康で前向きな人生を送ることにもつながるよい方法です。

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆「落ち穂 その184」彡☆彡☆彡☆彡☆彡

前回取り上げた『ホリ』さんと『札幌医科大学』の包括連携協定から
生まれたチョコレート『ホリのやさしいおいしさプラスショコラ』。

調べてみると『アミノ酸』は身体では作り出せない『必須アミノ酸』
全9種は含まれていました。

残念ながら
『非必須アミノ酸』の『グルタミン』は含有されていませんでした。

11種類のビタミンを配合し、乳酸菌も含んで 90g  五百円
はお買い得です。

よろしくお願いします(笑)。
次回も、
『 腸内環境を改善するひと工夫 』
について考えます。
それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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