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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2008年9月25日配信)

第49回 『保険適応となったニキビ治療薬アダパレン(2)』

 こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

 9月11日朝、当地では久しぶりに大きな地震がありました。(マグニチュード=7.0、震源地=十勝沖(えりも岬の東南東110km付近)深さ約20km 震度5弱 )

 前回少し書きましたが、今年は8月上旬に『マイマイガ』が大発生し、患者さんと『地震の前触れでは?』とよく世間話のネタにしていました。

 また、空には、素人目にもはっきりと『地震雲』を思わせる、ノコギリ状に一直線に走る太い帯状の雲が、発生10日程前に現れ、『これはいよいよ地震が来るね』となじみの患者さんと話していました。(ネットで検索すると9月6日にも同様な雲が出現していた様です。)

 地震が来た時は、診察中でしたが、窓を開けて、診療所の自動ドアの電源を切って避難路をまず確保し、様子を見ました。
 幸い被害もなく、本当に助かりました。

 でも振り返ってみると、『地震が来るのでは?』と思っていたものの、特に対策をしていた訳でもなく、反省しました。

『知って行わざるは知らざるに同じ。』 貝原益軒

昔の人は良いことを言っていますね。

 とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を毎月発行しております。

 そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)

今日から私は以下の4つを良く守り、
ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

 これは私が皮膚科診療を18年やってきた中で非常に重要と思い標語にしたものです。

 ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて解説してきました。

 第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連したこと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

 本題に入る前に、ジャン・フランソワ・ミレー(1814ー1875)の名画『落ち穂拾い』(1857年)オルセー美術館所蔵をご覧下さい。
http://www1.megaegg.ne.jp/~summy/gallery/glaneuses.html

 前回は、保険適用となり、近日中に一般の皮膚科でも処方可能となる、ニキビの外用治療剤『アダパレン:商品名 ディフェリン(Differin)』について、薬の特長や効果を発揮するメカニズムに関して、お話させていただきました。
 今回は、実際の使用方法等について解説させていただきます。

 まず最初にご連絡です。『ディフェリン ゲル』(以下 DG)の発売が少し遅れる様です。遅くとも10月中の発売開始と聞いていたのですが、11月以降となったようです。皮膚科ではまだ処方できません。ご注意下さい。

 それでは、本題に入ります。

 今回は事前に入手した、DGの医薬品インタビューフォーム(医師向けの詳細な説明書)より、私が重要と考える部分を改変して、一部専門用語は混じりますが、抜粋して説明します。

1.効能又は効果 について

☆ DGは、顔面の尋常性ざ瘡(普通のニキビ)にのみ使用します。

[ 顔面以外の部位(胸部、背部等)における有効性・安全性は確立していません。重度のニキビの皮疹である、結節や嚢腫に対しては、他の処置が必要です。 ]

2.用法及び用量

☆ 1日1回就寝前、洗顔後、水分を拭き取り、顔面のニキビが発現している部位に適量を塗布します。

[ ニキビのある所には、『微小面皰』、『非炎症性皮疹(閉鎖面皰、開放面皰)』並びに『炎症性皮疹(紅色丘疹、膿疱、結節、嚢腫など)』が混在していることから、皮疹が発現している部位(例えば、額、頬、顎)に塗布します。 ]

[ 治療開始3ヶ月以内に症状の改善が認められない場合には、使用を中止します。 ]

3.使用上の注意

☆ 重要な基本的注意

 イ)DGは、外用開始後2週間以内に、皮膚乾燥、皮膚不快感、皮膚剥奪、紅斑、そう痒症などの皮膚刺激感を生じることがあります。(*)

(*)臨床試験でのデータでは、評価対象例544例中429例(78.9%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が発生しています。副作用は必発です。
  皮膚乾燥(305例、56.1%)
  皮膚不快感(259例、47.6%)
  皮膚剥脱(182例、33.5%)
  紅斑(119例、21.9%)
など、高率に発生しています。

 ロ)上記の副作用は、通常、軽度で一過性ですが、発生後、継続使用中に消失又は軽減しない場合は、休薬や使用中止が必要です。

 ハ)切り傷、すり傷、湿疹のある皮膚への塗布は避け、鼻、口唇、鼻翼及び粘膜を避けて外用します。眼の周囲に使用する場合は、眼に入らないように注意します。

 ニ)DG使用中に、日光又は日焼けランプ等による過度の紫外線暴露を受けた場合、皮膚バリア機能が損なわれることで、DGによる皮膚刺激感が増す恐れがあります。紫外線には注意しましょう。

☆ 妊婦、産婦、授乳婦等への使用

 イ)妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては使用できません。

 ロ)授乳中の婦人には、使用しないことが望ましいですが、やむを得ず使用する場合には授乳を避けることが必要です。

☆ 小児への使用
 [12歳未満の小児に対する安全性は確立されていません。]

☆ 国内において、36歳以上の患者に対する使用経験がない。
(私が個人的に得ている情報では、保険財政の逼迫等の事情などから12歳~35歳までの男女が保険適用となるようです。)

☆ 適用上の注意  イ)他の刺激性のある外用剤との併用の際には、皮膚刺激感を増すおそれがあるため注意が必要です。
(イオウ、レゾルシン、サリチル酸を含む薬剤、薬用又は研磨剤を含有する石鹸や洗剤、乾燥作用が強い石鹸や化粧品、ピーリング剤及び香料やアルコールを含有する薬剤及び収斂薬)

以上、問題となりそうな所をピックアップしてみました。

 今回のポイントは以下の通りです。

【今回の4決め!落ち穂拾い】 「落ち穂 その33」

【保険適応となったニキビ治療薬アダパレン(2)』】

 
  • •ニキビの外用治療剤『アダパレン』、商品名『ディフェリンゲル0.1%』(以下DG)が保険適用となり、11月には、一般の皮膚科でも処方可能になります。
  • •ニキビでは、『微小面皰』から『閉鎖性面皰』へと進展し、『開放性面皰』を生じたり、さらに、炎症が起こり、『紅色丘疹(赤ニキビ)』や『膿疱』などの『炎症性皮疹』へと到ります。
  • •『DG』は、皮膚の表皮に存在するレチノイン酸レセプターに選択的に結合し、毛包上皮細胞の角化を制御するため、『面皰』の形成を抑制し、『炎症性皮疹』への進行を防ぎます。
  • •『DG』はいわば、『ニキビの根元を断つ』という薬です。
  •  
  • •『DG』には、副作用もあり、以下の特長を良く理解した上で、慎重に使用することが大切です。
  •  
  • •(効能・効果)
    顔面の尋常性ざ瘡(普通のニキビ)にのみ使用します。
  •    
  • •(用法・用量)
    1日1回就寝前、洗顔後、水分を拭き取り、顔面のニキビが発現している部位に適量を塗布します。
  •  
  • •(使用上の注意)
    1)『DG』は、外用開始後2週間以内に、皮膚乾燥、皮膚不快感、皮膚剥脱、紅斑、そう痒症などの皮膚刺激感を生じることがあります。
      (*)臨床試験でのデータでは、
       評価対象例544例中429例(78.9%)に副作用
      (臨床検査値異常を含む)が発生しています。副作用は必発です。
  • 2)副作用は、通常、軽度で一過性ですが、発生後、継続使用中に消失又は軽減しない場合は、休薬や使用中止が必要です。
      •(妊婦、産婦、授乳婦等への使用)
  • 1)妊婦又は妊娠の可能性のある女性に対しては使用できません。
  • 2)授乳中の婦人には、使用しないことが望ましいですが、やむを得ず使用する場合には授乳を避けることが必要です。
  • 3)小児への使用
      [12歳未満の小児に対する安全性は確立されていません。]
  • 4)国内において、36歳以上の患者に対する使用経験がありません。
      (12歳~35歳までの男女が保険適用となるようです。)
  •  
  • •(その他の注意)
  • 他の刺激性のある外用剤との併用の際には、皮膚刺激感を増すおそれがあるため注意が必要です。
    (イオウ、レゾルシン、サリチル酸を含む薬剤、乾燥作用が強い石鹸や化粧品、ピーリング剤等)
   

 保険適用となったニキビ治療薬のアダパレンについて、2回に渡って解説しましたが、肝心の発売が先延ばしになってしまいました。

 次回は、更に情報収集に努め、価格や年齢の適用、副作用対策等について解説して〆としたいと考えています。

 それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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