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コラム 「 とかちの窓から 」Column

(2015年2月20日配信)

第126回 『BPO(過酸化ベンゾイル)でニキビ治療の選択肢が増えます!』

#お時間のない読者の方は[今回のポイント]だけでもお読み下さい#

こんにちは。とかち皮膚科院長・とかち美白研究所所長の大石真暉です。

年明けの外来の混雑が一服してきた、1月中旬の金曜日のことです。
10年振りで高校時代の友人T君が
患者さんとして外来を受診してくれました。

受診理由は些細なものでしたので、
少し世間話をしながら、処置をして終了となりました。

ふとカルテを見ると、
登録番号が 33397。
(この数字 3339 に興味がある方は、
 第79回・第94回のコラムをお読みください。
 平成 9 年 3月 3日 開業の私には大切な数字です。)

その日の外来が終了して、会計の数字をチェックすると
999の数字が飛び込んできました。

(また、後から気づいたことですが、
 土曜日の会計の数字をチェックしたところ 
 777の数字が記されていました。)

 

『これは何かな。偶然、偶然だよね』と考えつつ、
外来終了後は、降り出した雪の除雪に専念しました。
それから、慌ただしく翌日の札幌の講演会行きの準備をしました。

土曜日の外来が終わって、JRで到着した札幌はあいにくの大雪。
ホテルにチェックインするため、
地下街から地上に上がろうとエスカレーターに乗ると、
降りてこようとした大柄な男性と視線が合いました。

『おお!Sやん!久しぶり!!』
S君は高校のクラスメートで柔道部。
クラス会以来、8年振りくらいの再会でした。
S君は飲み会の約束があり、お互いの近況を少し話して別れました。

『偶然が重なるな。なんだろう?』と私は再び考えました。

ホテルにチェックインすると、
サービスで新聞の夕刊をもらいました。
夕刊の1面に踊っていたのは

『 阪神・淡路大震災から20年 各地で追悼行事 』

という見出しでした。

『すっかり忘れていた!今日は1月17日。あれから20年経ったんだ!』

平成7年1月17日午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災。

当時、私は1月17日から4日間、地方病院へ出張中でした。
医局のテレビでその惨状を見続けていた私は、
自分の人生についてじっくり考えました。

大学病院での研究生活には未練がまだありましたが、
頼りにしていた教授が亡くなり、混乱する皮膚科の医局に見切りをつけ、
開業を『 決断 』したのは、この時だったのです。

20年を振り返ると、この『 決断 』は正しかったと信じています。

そうそう。
ニキビが改善するまでには、
いろいろな『 決断 』をしなければなりません。

生活を朝型に変えたり、化粧品をニキビを意識したものに変えたり、
髪型を変えたりするにも『 決断 』しなければなりません。

皮膚科を受診するにしても、
診療時間に合わせてスケジュール調整したり、
予約を入れるにも『 決断 』が必要です。

『ニキビ改善』は一筋縄ではいかないことも多いです。
このメルマガが、月に1度必ず届く、
『 ニキビ改善に必要な「 決断 」を下していく上で
  様々な「 サポート 」を行い、
  何となく読んでいるうちに
  いつのまにかニキビが改善している定期便 』
になれば幸いです。

ニキビの治療には、お薬の力(=テクニカル/技能面)ばかりでなく、
根気よく治療に取り組む力(=メンタル/精神面)も大切です。

このコラムが、その両方をうまくケアしていければ最高だなと思いつつ、
自分自身が一歩でも前に進むつもりで、
毎月お届けさせていただいています。

とかち美白研究所では、VCローション等を購入されている方に会報を
毎月発行しております。

そこの片隅に『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』というものを載せています。
(思い当たる所があれば今日から早速実行してみて下さい。)

『ニキビ治療の4ヶ条(4決め!)』

今日から私は以下の4つを良く守り、 ニキビ改善を目指すことに決めました!

  • (1)爪を切って手は下に置くことに決めました。
  • (2)髪型は適切にアレンジすることに決めました。
  • (3)規則正しい生活を送ることに決めました。
  • (4)お肌はしっとり潤いを保つことに決めました。

これは私が皮膚科診療を24年やってきた中で非常に重要と思い標語に したものです。

ニキビ治療には様々な治療方法があり考え方も様々です。

このコラムでは、第15回までは『ニキビ治療の4ヶ条』を系統立てて 解説してきました。

第16回からは『落ち穂拾い』と題して、『ニキビ治療の4ヶ条』を
『基本中の基本(中核)』と考え、日々気付いたニキビ治療に関連した
こと一つ(今まで取り上げていなかったが重要なことなど= 落ち穂 )
にフォーカスをあて(= 拾い )、お話させていただいています。

(バックナンバーは
  https://www.tokachi-media.com/content/column をご覧下さい。)

第112回からは、『ストレス』の対処法に最適な本
『「凹(ヘコ)まない」技術』( 西多昌規 著)
をもとに、『ニキビ』と『ストレス』についてとりあげています。
『ニキビ』と『ストレス』の対処法は、ちょっとお休み。

前回は、『ニキビ』と『婦人科の病気:子宮内膜症』との関係
についてとりあげました。

今回は、今春発売予定の保険適応のニキビ治療薬
『 BPO(過酸化ベンゾイル 』についてお話します。

アダパレン以降、
保険適応のニキビ治療薬の発売はしばらくありませんでした。

今春、詳しい日程はまだ未定ながら、
過酸化ベンゾイル(BPO)を有効成分とする
「ベピオゲル 2.5%」という外用剤が
皮膚科の保険診療で処方できることになりました。

この薬が実際に処方できるまでにはまだ間がありますので、
ニキビの成り立ちをおさらいしながら、
BPOの基礎知識について簡単にお話します。

ニキビは、
ホルモンの影響などで皮脂分泌が活発になることにより、
毛穴に皮脂がつまり、毛嚢(もうのう)・脂腺に炎症を生じる皮膚病です。

皮脂が毛穴に詰まり面皰(めんぽう)と呼ばれる状態になり、
面皰の中でざ瘡桿菌(アクネ菌:P. acnes)が増殖して炎症を起こすと
赤く腫れたり、膿を持ったりします。

BPOはニキビの原因菌であるアクネ菌に対する抗菌作用があります。
また、角層の剥離を促し、
炎症性のニキビおよび非炎症性のニキビ(面皰)に対して
効果が期待できます。

BPOは、最新の新薬ではありません。
実は、1960年代から多くの国でニキビ治療に使用され、
欧米の治療ガイドラインにおいて標準的な治療薬として
位置づけられていたものです。

長年にわたり海外の皮膚科などで使用されていますが、
アクネ菌耐性菌の発現報告はありません。

既存の抗生剤が効かなくなった抗菌薬耐性菌に対しても
抗菌作用が認められています。

BPOについて、2010年、日本皮膚科学会は、
将来懸念される既存の抗菌薬が効かなくなる耐性菌問題を避けるために
必要なニキビ治療薬の一つとして位置づけています。

効能・効果をみると、
結節及び嚢腫には、他の適切な処置を行うこととある通り、
ニキビ跡の赤みやクレーター状の凹み等には効果がありません。

軽度から中等度レベルのニキビに処方される外用剤です。

副作用としては、海外の報告をみると、
赤みやかゆみやピリピリ感があげられます。
まれに、BPOに対するアレルギーがおこることもあるようです。

今回、発売されるBPOはゲルで
1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布するものです。

皮膚科学領域に特化する製薬企業の製品とのことで
副作用や使用感にも、ある程度、配慮されていると思います。

『 BPO(過酸化ベンゾイル)でニキビ治療の選択肢が増える 』

ニキビ治療でお悩みの患者さんにとって朗報です。

[今回のポイント]は以下の通りです。

【今回の4決め!落ち穂拾い】

『BPO(過酸化ベンゾイル)でニキビ治療の選択肢が増えます!』

  • ■ 今春、過酸化ベンゾイル(BPO)を有効成分とする
    「ベピオゲル 2.5%」という外用剤が
    皮膚科の保険診療で処方できることになりました。
  • ■ BPOはニキビの原因菌であるアクネ菌に対する抗菌作用があります。
  • ■ 角層の剥離を促し、
    炎症性のニキビおよび非炎症性のニキビ(面皰)に対して
    効果が期待できます。
  • ■ 長年にわたり海外の皮膚科などで使用されていますが、
    アクネ菌耐性菌の発現報告はありません。
  • ■ 既存の抗生剤が効かなくなった抗菌薬耐性菌に対しても
    抗菌作用が認められています。
  • ■ ニキビ跡の赤みやクレーター状の凹み等には
    効果がありません。
  • ■ 軽度から中等度レベルのニキビに処方される外用剤です。
  • ■ 副作用としては、赤みやかゆみやピリピリ感が挙げられます。 まれに、BPOに対するアレルギーがおこることも。
  • ■ 1日1回、洗顔後、患部に適量のゲル外用剤を塗布します、
  • ■ BPO(過酸化ベンゾイル)でニキビ治療の選択肢が増えます。

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆「落ち穂 その110」彡☆彡☆彡☆彡☆彡

今回のこの偶然——。

どうやら、セレンディピティ(serendipity)
という言葉で説明できる現象のようです。

( セレンディピティ(serendipity)とは、
  何かを探しているときに、
  探しているものとは別の価値あるものを見つける
  能力・才能を指す言葉である。
  何かを発見したという「現象」ではなく、
  何かを発見する「能力」を指す。
  平たく言えば、ふとした偶然をきっかけにひらめきを得、
  幸運をつかみ取る能力のことである。
             ウイキペディア Wikipediaより)

そういえば、高校2年生?の時(32年前?)、
S君も参加した『クラス有志での海キャンプ』のことを思い出します。

(私)『ラジオを何気なくつけたら、
    いきなり自分の好きな曲がかかってるって結構あるよね?』

(S君)『そうだね。僕はビートルズかな?
     最近、知ったんだけど僕らの住んでいる世界は
     実は原子や分子みたいなごく小さなものの中にあって、
     さらに大きな世界が無数に存在するって説があるそうだーー』

などという、ちょっとお前たち大丈夫か?的な会話で、
朝まで盛り上がっていたことを思い出しました。

人生って面白いですね。

次回も、最近のニキビのトピックについて取り上げます。

それでは。

おおいし まさき(大石 真暉:ペンネーム)
(昭和41年北海道帯広市生まれ。平成6年札幌医大大学院修了。
平成7年同皮膚科学講座助手。平成9年とかち皮膚科開院。
平成14年とかち美白研究所開所。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

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